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2008年8月 3日 (日)

和楽器堪能、囃子の会

82日 囃子の会(歌舞伎座)
08080301hayasi去年三響会に行かなかったし、今年東京では三響会はないし、囃子の会の案内を見て、出演の囃子方、歌舞伎俳優さんが豪華だし、お能のことはわからないけれど、このレベルならきっとお能のほうもすごい方たちなんだろうと(後で聞いたら、お能は、ありえないような豪華メンバーだそうで…)、そういう出演者が一同に会するこんな豪華なチャンスはめったにないだろうとチケットを取った。
素晴らしかった、行ってよかった。こちら関係、まったく知識がないので、とんちんかんになるかと思いますが、以下、視覚的感想(囃子の会、なのに)を簡単に。
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2列目だったから、花道は諦めていたが、幕が開いてビックリした。あの舞台が能舞台に変身していたのだ(能舞台を模した、と言うべきですかね)。半分より上手寄りに舞台、下手側半分に橋が設えられ、床が黒く塗られていた(or黒い布?)ため橋が浮き上がって見え、時々本当に水面にかかっているかのような錯覚を覚えた。舞台後ろの松は、幹は本物の葉を使っていたのではないかしら。もう、この作りを見ただけで、気分はそういう世界へと誘われる。
最初は「三番叟」23分)。江戸時代、「三番叟」で舞台を清めてからその日の公演を行っていたという芝居小屋の慣わしにのっとり、この会もまずは「三番叟」から。藤間勘十郎さんの三番叟は、躍動感にあふれ、「操り」とか「舌だし」とか「種蒔き」とか、そういうバリエーションでない「三番叟」もこれほど魅力的なものなんだ、と思った。勘十郎さんは、82日付の東京新聞夕刊伝統芸能欄のメイン記事に取り上げられています(まだ28!!)。
「鶴亀」20分)。梅玉、梅丸、梅枝、萬太郎による長唄の舞踊。梅枝クンはもうすっかり自信がついたのか、清楚ながら堂々たる舞いぶり。萬太郎クンは昨年錦之助さんのお祝いの会で一度舞いを見たことがあるが、格段の進歩だ。もちろん、まだまだではあるが、若い子って進歩が目に見えるので面白い。梅丸クンはいつもながら、そのうまさに舌を巻く。若い3人を帝の梅玉さんがやわらかく貫禄で見守るという感じだった。
「小袖曽我」12分)。「曽我物」の1つで、シテ梅若六郎、ツレ観世銕之丞。面も衣裳もつけない素踊りで、意味はよくわからなくてもドラマ性が感じられて、引き付けられた。こういう演目なら能でもイケるな、と思ったのだけどプログラムを見ると「舞囃子」と書いてある。これは能ではないのかしら。
「静と知盛」26分)。富十郎さんの素踊り。「船弁慶」ですよね。で、やっぱりダメでした。頑張って見ていたのだけど、陥落しました。
「羅生門」20分)。これも素踊り。吉右衛門さんの渡辺綱。この曲に振り付けが施されるのは今回が初めてだそうだが、曲は勇壮だし、踊りもわかりやすくて楽しめた。
「楊貴妃」40分)。シテ観世清和、ワキ宝生閑。これは<>。何とか努力したけれど、寝てしまった。お能を見る自信が完全に潰えました。
「老松」20分)。黒の衣裳が映える玉三郎さんの美しさを堪能。リラックスして踊っているように見えた。
番外・獅子」5分)。亀井忠雄さん一家に笛の福原寛さんが加わった演奏。これまでの演目はついつい踊りのほうに注意がいっていたが、この会は「囃子の会」なのだった。もちろん、演奏も素晴らしくて、鋭い笛の音(これが鳴ると、空気が変わる気がする)や澄み渡る鼓の響き(狐忠信を思った)、ぐっと盛り上げたりしめたりする太鼓、そこに加わる三味線、謡に長唄--演奏だけでも十分楽しいし、いっそ目を瞑って聞いてみたい気もしたくらい(もったいないから、そうはしなかったけれど)。そういう気持ちを満足させてくれたのがこの番外「獅子」。打楽器は決してリズム楽器なのではなくメロディーをも演奏するということが実感できた。獅子が毛を立てて舞い狂っている様が目に浮かぶ。それだけでなく、私自身が獅子になって狂い舞いしたくてたまらなくなる。わずか5分という演奏、終わるのが惜しくて、もっともっと聞いていたかった。一家でこういう演奏ができるなんて、ここへ至るまでの道の厳しさを思いながらも羨ましい気持ちになった。幕がおりてからも拍手をする手は止まらず、6人が1列に並んだカーテンコールで心からの賞賛を送った。
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上演時間>各演目の時間が本文に記載。「三番叟」から「静と知盛」までは各幕間5分。後半との間に40分の幕間。「羅生門」と「楊貴妃」の間は5分、「楊貴妃」と「老松」の間は10分、最後の幕間は3分。
追記1歌舞伎役者さんが登場するとさかんに大向こうがかかっていたが、歌舞伎とは違ってそぐわない気がして、声がかかるたびにドキっとした。とくに富十郎さんのときにそれを強く感じた。
追記231列目の客が前かがみになると、舞台がほとんど見えなくなる。私も時々31列に座り、十分気をつけてはいるつもりだが、後ろでそれを実感したから、今後はさらに留意しようと思った。
もう一つ、周囲のお喋りの声がやや大きいのが気になった。
おまけ1前後半の間の長い幕間が終わる少し前、スーツ姿の梅枝クンを発見。ずいぶんためらった後に、おばさんの図々しさで意を決して近寄り、巡業お疲れ様でした、牛若素晴らしかったです、今日の舞も素敵でしたと気持ちを伝えた。なんて素直な、感じのいい青年なんでしょう。ちゃんと丁寧に聞いてお礼を言ってくれました。ミーハー的満足感もバッチリでした。
08080303whisky_3おまけ2サントリーウイスキーの試飲会をやっていた。ウイスキーは普段ほとんど飲まないけれど、試飲会っていうのにはちょっと心惹かれる。でも、たとえ一口でも飲んだら絶対寝る。普段の歌舞伎興行でもビールやワインを飲む人がいるけれど、眠くならないのかなあ。


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コメント

お帰りなさいませ、お待ちしておりました。
…っと申しますのは、私もチケット争奪戦に参戦してやっと取ったチケットですのに、体調がすぐれず、また翌日以降の予定がたてこんでいて無理がならず、泣く泣くピンチ観劇者を家族に頼んだのでした。参りました母も、梅枝丈の素晴らしさを第一に熱弁しておりました。拝見したかったですわ~。(お声掛けできて、良かったですね♪)
きっと、良い、プラスのエネルギーをたくさん浴びられたことですようね。羨ましいです!

投稿: はなみずき | 2008年8月 3日 (日) 19時15分

はなみずき様
きっと、どこかにはなみずき様もいらっしゃると思っておりましたが、残念でしたね。
お加減いかがですか? 大変残念なことではありましたが、この暑さですから(昨日は、ここのところかなり涼しかったのに突然暑さがぶり返しましたから)、やはりご無理なさらなくてよかったのかもしれません。お母様が喜ばれたのでしたら、親孝行になったとお考えになって。
梅枝クンは、世田パブの「獅子虎傳阿吽堂」に出演されたのがかなり大きかったのではないかなあ、なんて、この公演を見ていないにもかかわらず、そんな気がしています。そのうち「梅枝クン」なんて気軽に言えなくなってしまいますね(もちろん、ご本人にはさん付けで声をかけましたが)。
こういう演奏会はあまり経験がなく、ひどくいい加減な感想でしたのに、ありがとうございました。
どうぞ、お体をお大切に、今月も観劇なさってくださいませね。

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月 3日 (日) 21時14分

ほんとに素晴らしかったですね。私も堪能しました。はなみずきさまは残念 でもお母様がいらっしゃったのなら、それは親孝行になったのでは。お能を見るには特に体力が必要ですし(それは私だけじゃないですよね)。
3階東2列から見た私は、前屈みとかに気を遣わなくてよかったので(いらつくこともなく)、その点は気楽でした。周囲も皆さん舞台に集中してらしたし。獅子の前に席を立つ1階の方々がよく見えて、勿体ないなあと思ったことでした。

投稿: きびだんご | 2008年8月 3日 (日) 21時21分

コメントを書いてる間にSwingingFujisanさまのレスが 同じく「親孝行」とあって、うふふ~でした。
そうそう、はなみずきさま、お大事に(というのを忘れてました

投稿: きびだんご | 2008年8月 3日 (日) 21時24分

きびだんご様
コメント、ありがとうございます。
「親孝行」--ほんと、まったく同じこと考えていたんですねえ

東2列はたしかに、少し背伸びしたり立ち上がったりもできますから、前後のことで気を使う必要はないですものね。でも、見える範囲が限られていたということで、一長一短ですね。
「獅子」の前に席を立った方がいらしたんですか!! ご事情があったのでしょうが、ホントもったいない

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月 3日 (日) 21時57分

SwingingFujisan様、そしてきびだんご様、ご心配、ありがとうございました。もうすっかり回復致しました。この暑さですと、暑さも毒ですが、冷房の冷気も、毒ですね。暑さ対策、冷房対策、ともにしっかりとらなければ、と改めて思いました。さて、今月もカンゲキに忙しいですね! 風邪などひいている場合ではござんせん(笑)。この場をお借りして、お礼と回復のご報告までm(_ _)m。

投稿: はなみずき | 2008年8月 4日 (月) 10時44分

はなみずき様
ご回復のお知らせ、ありがとうございます。
まずは安心いたしました。
原因は冷房でしたか(プラスお疲れの蓄積もあったのでしょうね)。暑い中から冷房のきいた部屋に入るとほっとしますが、私も時々寒さを感じることがあります(地球環境を考えたらもったいない話ですね)。ので、出かけるときは必ず上着か夏用のショールを持っていくようにしています。自宅では…ほぼ扇風機で耐えています(カメラ買っちゃったから)

さあ、お互い健康に留意しつつ、これから又張り切ってカンゲキライフを送りましょう

PS aki様からも、はなみずき様のご回復よかったとのコメント、いただきました。

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月 4日 (月) 11時28分

SwingingFujisanさま、こんにちは。
私は3階4列目のやや上手よりでした。お近くだったかもしれませんね~。シンプルで素敵な舞台装置でした。梅丸くん、可愛かった♪「楊貴妃」は難しかったです。。。玉さま、美しかった。「番外・獅子」すごかった。濃ゆい5分でしたね!あの場にいた誰もがウキウキというかソワソワというか、じっとしていられない感覚に陥ったのではないでしょうか。ちなみに、私の後ろの席の方々は、幕間にお唄のおさらい(?)してました。意外と心地良かったでしたけど。

追伸。はなみずきさま、復活されて良かったです。

投稿: aki | 2008年8月 4日 (月) 11時47分

aki様
コメントありがとうございます。
3階のあのあたりに、お顔は存じ上げなくてもこうしてお喋りする同好の士がもうお一方いらしたのかと思うと、なんだか嬉しくて1人でくすくす笑っております。

梅丸クンは踊りがとても上手ですね。梅玉さんが温かく見守っていらっしゃるようだったのが印象的でした。
「獅子」は本当に興奮しました。みなさんが同じ感覚だったであろうことは、あの後の拍手でわかりましたよね

幕間のお唄のおさらい、楽しそう。ちょっとお聞きしてみたかったわ。

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月 4日 (月) 11時58分

ホント素晴らしい会でしたね(^^)

正直言って見る前は「鶴亀」は退屈しちゃうかなと思っていたのですが、あに図らんや、見終わってみれば、歌舞伎関連では一番面白く拝見したかもしれません。若者達の一生懸命さが見ていてとても清々しい気分になりました。梅枝くんは、見るたびに華やかさを増しているようにお見受けします。これから益々期待大ですね(^^)

短い時間でしたがお目にかかれて嬉しゅうございました。また、どこかの劇場でお目にかかれるのを楽しみにしております。(9月は遭遇率がアップしそうですね(^^))

投稿: kirigirisu | 2008年8月 5日 (火) 20時31分

kirigirisu様
コメント、ありがとうございます。
「鶴亀」、同感です。はじめは出演者に惹かれて一生懸命見ていたのですが、あんなに面白い舞だとは思いませんでした。
どの演目も、元々短い上演時間が本当にアッという間に終わってしまったと感じるほど、引き込まれました。
また、お目にかかりましょうね

投稿: SwingingFujisan | 2008年8月 5日 (火) 21時14分

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