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2008年7月 8日 (火)

鼓に「おお~」:歌舞伎の見方

77日 歌舞伎鑑賞教室「義経千本桜 河連法眼館の場」歌舞伎の見方篇(国立劇場大劇場)
上から見下ろす1階席は高校生でいっぱい。いつもの如く、まあ賑やかなこと。幕があいて盆がせりあがりながら回り始めてもなかなかお喋りがやまない。せりの一つにうずくまるようにして何やら白いものが乗っている。やがて、黒御簾からなる笛の鋭い音に反応してその白いもの(それは狐サンであった)が起きだすと、客席はやっと静かになった。狐は跳ねながら花道スッポンへと姿を消す。と入れ替わりに、澤村宗之助さんが上がってくる。スッポンエリアの学生たちが伸び上がって覗き込むのが微笑ましい。
宗之助さんはまず、回り舞台せり花道スッポンについて簡単に解説した。花道は実際に歩いて、客と役者の距離が近くなる(物理的にも心理的にも)ことを実践して見せた。役者の出にはチャリンと音がして揚幕が上がるから、この音が聞こえたら揚幕のほうを見るように、と。この言葉に私は思わずニヤリとした。そうでなくても狐忠信の初登場には揚幕内で大きな声がするし、花道にも照明が入るからそちらに目をやってしまうが、まあ最初はだまされるのが楽しいだろう(なんちゃって、ベテランぶってるね。私も最初だまされたから、悔しくて以後はいつも気を張って見逃さないようにしているけれど、初回の驚きは新鮮だったなあ)。
義太夫の説明では「面談せんと義経公、一間の内より出でさせ給い」の一節が語られた。その後「義太夫さんから告知があるそうです」と宗之助さんが言うから、何か面白いネタでもあるのかと思ったら、普通に研修生募集の大まじめな告知で(勝手な想像をしてすみません)、かえってそれが客席の笑いを誘っった。
この後黒御簾の説明があって(狐の出の音楽を演奏)、最後はツケ。手紙をはらりと落とす仕草にツケを入れて場面を印象付けることをまず見せて、その後男の歩き、女の歩き、見得のツケを紹介した。ここでタイミングよく大向こうの「紀伊国屋っ」。たいがい「誰が声をかけてもいいんですよ。いいと思った場面ではどんどん声をかけてくださいね」というところだが、宗之助さんは「大向こうのタイミングはむずかしいので、あまり真似しないように」とクギを刺す。もしかしたら最初は「声をかけてくださいね」だったのが調子に乗った学生の掛け声に辟易して、方針変更になったのか。あるいは時々聞かれるおかしなタイミングの掛け声を牽制したのか。そんな穿った見方をしてしまった。
★鼓

ここまではごくオーソドックスな歌舞伎全般に関する説明だったが、ここからは今日の演目の説明に入る。舞台に義経と静の絵が描かれたパネルが登場し、義経(だったかな)が手にした絵の鼓があらあら本物の鼓に変わった(セロのハンバーガーか)。
宗之助さんの質問に鼓方さん(お名前失念)が答えるという形で、鼓のことがいろいろわかってくる。鼓は胴と皮、そして紐から成り立ち、胴は硬い木(何の木だったか、聞きそびれた)、2枚の皮は馬の皮(牛もあるが馬が多い)、2本の紐(縦しらべと横しらべという)は麻を紅花で染めたものなんだそうだ。
鼓方さんはばらばらになっていた皮と胴を手にすると、紐を張ってアッという間に鼓を組み立てた。「おお~っ」こういうシーンは初めて見たから興味深い。
左手にもった紐を握って打てば高い音(「ちぃ」というらしい)、離すと低い音(「ぽん」の音)が出る。したがって左手の動きで音の高低を打ち分けているとのことであった。

さて、この後、鼓の紐で縛られた静(京紫)を助ける忠信(蝶十郎)の場面が演じられ、「河連法眼の館の場」にどう繋がるかが説明された。そして宗之助さんが狐の動きでスッポンへ。入れ替わりにさっきの白い狐が上がってきて(出だしとちょうど逆になるという仕掛け)、狐六方で花道を引っ込んで「歌舞伎の見方」はおしまい。私にとっての今回の目玉は鼓かな。
鑑賞篇に続く。

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