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2008年7月12日 (土)

何度見ても楽しい

712日 公文協巡業東コース(群馬県民会館、昼の部)
「操り三番叟」
暑いさなかの旅の疲れも見せず、どころか、ますます快調な亀・亀コンビである。亀治郎さんのジャンプは高く、動きは滑らかやわらかで、一挙手一投足に目が惹き付けられる。実は巡業2度目の今回は、亀鶴さんウォッチングでいくつもりだった。でも、亀治郎さんの三番叟を見ずして亀鶴さんだけに集中することはできなかった。右目で亀治郎さん、左目で亀鶴さん、という感じで楽しんだ(そんな器用なこと、本当にできたのかな)。
客席も大沸きで、拍手喝采。「操り三番叟」は何度見ても飽きない、面白い。
しか~し。後見が三番叟を箱から出し、舞台中央に連れてきて、糸を確認して、三番叟を立ち上がらせる、というこの出だしの場面の時、遅刻の集団が入ってきた。私の数列前の席の人たちだったが、わさわさと座席の中に入り、それからおもむろに座席番号を確認し合い、あんたはここ、あんたはそこじゃない、などと舞台に背を向け立ったまま、身を屈めもせず、一度座った人を立たせて移動させたりして、まあ後ろは迷惑この上ない。同じグループ(家族かもしれない)なんだから、その中で座席番号が少しズレたっていいじゃないの。ともかく舞台は始まっているんだし、そのせいで最初のいいところが見えなかった人だっているはず(私は幸い、かろうじて見えた)。思わず「早く座れよ」という小声が出てしまった。後ろからも「早く座ってよ~」という声が聞こえてきた。
遅刻するのは仕方ないにしても、最低限のエチケットは守ってほしい。
「口上」
以下に、相当端折って内容をご紹介する。

亀治郎:風林火山の応援ありがとうございました。テレビや映画は、観客がお菓子を食べながら見ていようと寝ていようと一方通行でしかないが、生の舞台はそうではない。役者が一生懸命に演じてお客に元気になってもらえるようつとめる。お客はそれに反応して舞台の役者に元気を返してくれる。そういう気のキャッチボールが芝居だと思う。群馬の暑さに負けず、暑い声援をお願いします。
亀鶴:先ほどの「操り三番叟」の後見、これからやる「弁天」の南郷力丸をつとめている、よろしく。
竹三郎:ご当地初お目見え。ごゆっくりと観劇を。
桂三:役者としては8年ぶりの前橋だが、私的には毎年8月、信濃(桂三さんの声の届きがちょっと悪く、信濃だったかどうか定かではないが、多分信濃)からの帰りに立ち寄っている。
巳之助:今日は前橋育英高校保育科の学生さんが来ているが、自分もこの3月までは高校生だった。歌舞伎は難しいと思われがちだが、「弁天」は「水戸黄門」が見られる人なら大丈夫、楽しんでいって。なかなか気が利いた挨拶で、感心した。
段四郎:久しぶりの前橋。歌舞伎界では81歳、90歳の役者が現役で活躍している。当一座は平均年齢が若い(亀・亀さんは30代、巳之助クンは18歳だからね)。70代の竹三郎さん、60代の自分も若者のパワーに負けぬよう頑張る。21世紀の歌舞伎を背負う若者をよろしく。また、日本の宝から世界の宝になった歌舞伎をよろしく。この東コースの巡業のスケジュールは、非常にきびしそうだ。日程表を見ていると、役者さんはつくづくタフだと思う。竹三郎さんも段四郎さんも、ここまでは上々のコンディションのようで、一安心。千穐楽でまた、お元気なお姿をお見受けできると楽しみにしている。
「弁天娘女男白浪」
最初から最後までかなり受けていた。わかりやすいストーリー、ユーモラスなやりとり、目を引く華やかさ。花道がないこと、舞台が狭いことなど、やりにくい部分も多々あるだろうけれど、客が喜ぶという意味では、巡業向きの演目だと思う。私も何度見ても楽しい。浜松屋と稲瀬川だけ見たってもちろん面白いが、5月に通しで見たから楽しさは倍加している。
亀治郎さんのお浪はとてもチャーミングで、それだけに男に戻ったときとのギャップが大きく、笑わせる。赤い襦袢をぱたぱたさせて「あ~あつい」とやるところなんか、今日はかなり大胆だったように思う。というか、全体に亀ちゃんは思いきりこの役を楽しんでいる。初日に比べて自由奔放さが感じられる。それがこちらの心もほぐし、弁天と同じ気持ちにさせる。
何度も言うようだが、力丸との引っ込みは、たまらなく好きだ。亀・亀の弁天・力丸にはやはり友情以上のものがみえる。
この2人には、不思議な柔らかさがある。菊之助・松緑コンビはもっとスキッとした、竹を割ったようなという表現が相応しい江戸っ子ぶりだった(と私は思っている)。でも亀・亀コンビはそういうのとは少し違う。どことなくはんなりしているのだ。そういえば、亀治郎さんにあまり江戸っ子という雰囲気は感じないなあ。この前の菊五郎・左團次コンビと私が見たのは3組だけど、どのコンビにもそのコンビなりの良さがあり、どれが一番好きとは選び難い。
あ~、楽しかった~。
群馬県民会館は、座席が舞台を見やすいように配置されている。埼玉芸術劇場もそうだが、椅子が舞台中央に向けて設置されているので、自然に体が舞台を向く。また前の列とずらしてある劇場は多いが、それでも前の人の頭が視界に入るのが気になることは多々ある。ここは、それが全然なく、舞台がよ~く見えた。

<上演時間>「操り三番叟」20分、休憩15分、口上10分、休憩25分、「弁天」80

080712maebashi

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コメント

「操り三番叟」のいっちばんいいところでの“騒ぎ”は、残念でしたね…。イライラせず、自分は舞台に集中しよう、っと努めるのですが、結局イライラが続いてしまって舞台にいまひとつ集中できずに消化不良になってしまった経験、私もあります。自分の「修行」(いつだって平常心)の足りなさを悔いるべきなのか、どうか…。気軽な気持ちで歌舞伎に接するのはいいですが、劇場のマナーは本当に大切と思います。
こちらの「亀亀」巡業、私は今月下旬なので、まだまだ楽しみが続いています。むか~し昔は、「旅の一座がくる」となると、こんな気持ちで村落で待っていたのかなぁ、なんて、思います。

投稿: はなみずき | 2008年7月13日 (日) 07時49分

はなみずき様
コメントありがとうございます。
きっとお芝居を見慣れない方たちで、とにかく席に着かなければと、まわりの人のことが頭になかったのでしょうね。これも巡業だからこそ、の光景なのでしょう。だいぶ時間がたった今はそう思えるようになりました(でも、マナーはマナーですよね)。

>むか~し昔は、「旅の一座がくる」となると、こんな気持ちで村落で待っていたのかなぁ、なんて、思います。

ですよねえ。ましてや、楽しみの少ない昔のこと、旅芝居の一座はどんなに歓迎されたことでしょう。亀治郎さんがおっしゃっていた「役者が観客に元気を与え、客がその元気を役者に返す」ということが、とくに巡業では実感されるのではないでしょうか。

月末までは3週間弱。はなみずき様の、既に2度見た私も、ご同様な気分です。

投稿: SwingingFujisan | 2008年7月13日 (日) 09時17分

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