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2008年4月 9日 (水)

勘違いだらけで見た歌舞伎昼の部

49日 四月大歌舞伎昼の部(歌舞伎座)
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日が木曜日だとばかり思っていた私は、今日を体調調整日に充てる思惑がはずれ、かなり不調のまま出かける破目に陥った。最近、そんな思い込みや勘違いがよくある(オバ化かおバカか)。
080409jissyuko 「十種香」。時様の八重垣姫は3年前の国立で見たけれど、歌舞伎座では初めて、と思ったら、時様自身が初めてだったのね。物語はやたら複雑だし、ここは美しい音楽を聴き、一幅の美しい絵を眺める、そういう心構えで見たらよろしい、という小山觀翁さんのアドバイスに従い、敢えて理解しようなどと頑張らずに見た。橋之助さん(勝頼)は意外と顔が小さく拵えられていた(いつも、顔デカ~っと思うから。その大きさが歌舞伎には合う)。秀太郎さん(濡衣)はうまいのだけど、私の目にはどうしても○○屋の女将とか仲居とか、そういうふうに見えてしまう。時様は、よく「古風な」と表現されるが、その古風な落ち着いた面立ちがときに愛らしく恥らったりして、そういうところが好き。まあ、この八重垣姫はもうちょっと情熱的でもいいのかな、とも思うけれど…。
080409yuya 「熊野」。七之助さん(朝顔)、きれい。玉様(熊野)、きれい。そして仁左様に錦之助さんと、いい男2人揃うのに、頑張って目を開けているのがやっとでした。元々こういうの苦手なうえ、本当を言うと、食後だし、見る前から、絶対お昼寝タイムになると予測していたのだけど、そこまでいかなかったのは我ながらよく頑張ったと思う
男に愛されすぎる女はつらい。歌で男に翻意させる女のたしなみは、哀れで美しい。病気のおかあさんのところに帰れることになってよかった。
080409irezumi_2 「刺青奇偶」。いれずみちょうはん、と読む。よく見もしないで「奇遇」と勘違いしていた私は、奇数と偶数だから「ちょうはん」と読むのだと聞いて納得。ただし、「ちょうはん」は本当なら「偶奇」となるべきなんだが、そこは作者の長谷川伸が敢えてそうしたらしい。私の勘違い(思い込み)はまだ続く。夜の部の「浮かれ心中」が頭にあったためだろう、これにも時様が出ると思っていた。玉様だった。この玉様がまた、きっっれ~いなのよ。人生にくたびれた薄幸の酌婦(お仲、という名前)なんだけど、抑えた化粧のお顔が本当にきれい。そして、自分の体が目当てでない男と初めて出会えた嬉しさに、その男・半太郎(勘三郎)に縋るいじらしさ。半太郎もやがてそのお仲に惚れて、堂々とこの世で「一番好きなのはお仲だ」と言えるその気持ちがよくわかる。もう長いことはないと医者に言わせる病にかかったお仲が、死んじゃったかと思ったら、半太郎のセリフでまだ生きていることがわかって嬉しかった。
勘三郎さんは、最初に登場した瞬間、先代にそっくりでビックリした。勘三郎さんはお客サービスなのだろう、時として崩したような演技をするが、今回はそういうこともなく、丁寧に演じていたように思う。お仲に親切にする隣家の女房おたけ(歌女之丞)が、らしさがあって心に残った。やくざの親分、仁左様が人間の大きさを見せてカッコいい。親分らしい貫禄と厳しさの中に情を忍ばせている。
玉様のお仲は、「牡丹灯籠」のお峰や「ふるあめりか」のお園を思い出させる感じで、お仲を杉村春子がやったかどうかは知らないけれど、前の2人が杉村春子路線なら、その延長上にあるのではないかしらという気がした。
そういえば、勘三郎・玉三郎コンビは勘三郎さんの襲名公演で見た「鰯売戀曳網」が秀逸だったな。話の内容も楽しいものだったし。ふと、そんなことを思い出しました。歌舞伎はいいなあ。面白くてもつまらなくても、体調管理に失敗しても、一番しっくりくる。好きだ、と思う。

<上演時間>「十種香」52分、幕間35分、「熊野」45分、幕間25分、「刺青奇偶」88

おまけ:6月の歌舞伎座演目が出ていました。
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コメント

こんにちは! 昼の部レポ、そして6月情報もありがとうございます! 4月御園座、5月演舞場の吉右衛門一座が巡回してらした感じですね(笑)。

昼の部は今週末の予定ですので、楽しみです~。夜の部での「浮かれ心中」での七之助丈の花魁姿。目線の動かし方、使い方が玉三郎丈に似ているな~と感心したのです。共演を重ねることによって、直接ご指導して頂いたり、また、間近く研究できる部分があるのでしょうね。玉三郎丈・仁左衛門丈・勘三郎丈の「トリオ」のご活躍、昼夜ともに楽しめそうですね!

私も日にち、曜日、時間の「勘違い」はしょっちゅうです。日にちを間違えて見逃すことにはならず、良かったですね!

投稿: はなみずき | 2008年4月10日 (木) 11時02分

はなみずき様
また、雨ですね。
6月歌舞伎座、本当だ、確かに吉右衛門一座の巡回という感じがしますね
芸は親から子へ、先輩から後輩へ脈々と受け継がれているのいうのが、時々ハッとするほど似た動きや表情でわかることがありますね。「熊野」の七之助さんも玉三郎さんに似ていたかも(必死で目を開けていたので、あまりアテにならないのですが)。
はなみずきさんも勘違いなさるんですか、ちょっと安心したりして(^^)。ええ、日にちを間違えなくてよかったです!! 手帳だけでなくあちこちのカレンダーに書き込んであるにもかかわらず……思い込みって怖いですね。

投稿: SwingingFujisan | 2008年4月10日 (木) 11時34分

(確か、「始めまして!」ですよね。)六月の情報有難うございます。期待していた播磨屋と松嶋屋の共演ないのは残念ですが、それを補って余りある播磨屋の権太が嬉しいですね。京都の顔見世でかなり前ですが播磨屋の権太で発表されたあと狂言差し替えになったことありましたっけ。せっかくチケット取ったのに・・・という思い出があります。(弁慶上使に変更になったのです。それはそれで良かったのですけど。)新薄雪は夜の部で松嶋屋の参加で実現すれば最高でしたね。(昼は松嶋屋さんは新派公演ですから)それと個人的に待望していた生きている小平次も楽しみです。全体的に魅力的な六月の歌舞伎座です。

投稿: うかれ坊主 | 2008年4月10日 (木) 23時13分

うかれ坊主様
ありがとうございます。
いえいえ、はじめまして、ではございません。以前に何度か(昨年11月と今年2月)コメントいただいたことがありますよ
6月の演目、私は新薄雪も小平次も初めてですので、とても楽しみにしています。すし屋も、吉右衛門さんがどんな権太を見せてくださるのか期待がふくらみます。
狂言差し替えという事態もありうるんですね!! それもまた貴重な経験のような気もしますが、そういうことって時々あるのでしょうかしら(少なくとも私のまだ短い歌舞伎歴の中では経験がありません)。
おっしゃるように、吉右衛門さんと仁左衛門さんの共演がないのはまったく残念ですが、そのかわり(?)新派ももちろん見に行くつもりです

投稿: SwingingFujisan | 2008年4月11日 (金) 00時01分

そうでしたか。大変失礼しました。忘れっぽい性格故ご勘弁下さいませ。
 新派は本当に楽しみですね。私も「新派のシンパ」です。「婦系図」は三越でかかったばかり。折角の記念公演、狂言立てにひとひねり欲しかった気も致します。名優が去って寂しくなってきた新派ですが、まだまだ得がたい役者が大勢いらっしゃる底力のある劇団だと思っています。個人的には一條久枝さんの名があるのが非常に嬉しくてたまりません。お元気な舞台を拝見したいものです。
 さて狂言差し替えの件ですが、プレス発表されてからの差し換えは確かに最近は少ないですね。一度決まればそのままで、急病があっても代役ができるのが歌舞伎の強さですしね。幕内のことは存じませんが、決まるまではなかなか大変なのでしょうけど。今年は割りと演目発表が早いですが、決まらない時はぎりぎりですものね。
 松嶋屋さんは掛け持ちご苦労さまです。劇場の移動は人力車ですかね。

投稿: うかれ坊主 | 2008年4月12日 (土) 10時25分

うかれ坊主様
いえいえ、どういたしまして。忘れっぽいのはお互い様でございます。
狂言差し替えの件、ありがとうございます。即代役ができるというのは、本当に歌舞伎の力ですよね。私などから見たら、とても人間業とは思えません。
新派はもしかしたら子供の頃に1~2度見たことがあるかもしれませんが、観劇歴が浅いため、大人になってからは多分初めてだと思います。演舞場の他の演目で新派の役者さんを拝見すると、巧さが光るなあと感じますので、本格的新派が楽しみです。
仁左様にはぜひ人力車で移動していただきたいですね。どんなにお似合いか♪
これからも色々お教えくださいませ。

投稿: SwingingFujisan | 2008年4月12日 (土) 10時49分

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