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2008年4月 3日 (木)

豪華な舞台:トゥーランドット

42日 「祝祭音楽劇トゥーランドット」(赤坂ACTシアター14時の部)
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豪華な舞台装置に目を奪われた。下底より上底の短い台形の20段ほどの大階段が正面にでんと据えられ(5メートルくらいの高さがありそう)、その両側にも同様の階段が設えられている。正面の階段は下の10段ほどが収納できるようになっている。これをメインとして、巨大な装置が上から下りてきたり、袖から出てきたり。何十人もいる出演者がその豪華さをさらに印象づける。
プッチーニのオペラ「トゥーランドット」は見たことないが、それを元にした宝塚の「鳳凰伝」を見た。だからストーリーは知っているつもりであったが、この「祝祭音楽劇トゥーランドット」は、トゥーランドットが夫選びのために3つのナゾを出し、答えられない男は無惨にも殺されてしまい、王子カラフだけは正しい答えを出した、というところ以外は全然違う話だった。それはそれでかまわないのだが、ちょっと焦点がボケたというか、何を言いたいのかよくわからない部分があって、個々の場面ではいいところも多々あったのに、全体として感情移入しづらかった。ま、しかし最後のコーラスが盛大で、「祝祭音楽劇はこれでいいのだ」。
ただし、カラフ役の岸谷五朗がちょっと年齢もいっているし、あんまり魅力的でなくて、トゥーランドットとの愛の物語だとしたらロマンを掻き立てられないし、1人の王子の成長の物語だとしてもあまりピンとこなかった。歌もそれほどうまいとは思わなかった。
トゥーランドット役のアーメイ(台湾出身の歌手)は、可愛らしいけれど、絶世の美女というイメージではない。また日本語のセリフにたどたどしさが残り、ちょっと興が削がれる。しかし、さすがに歌唱力は他を圧倒している。歌であれば日本語もすんなり発音できるのだろう、哀切な声にトゥーランドットの気持ちがしっかり乗って、心地よく聞くことが出来た。最後のほうで、中国語で人名を読み上げる場面があるが、当たり前の流暢さにちょっと笑ってしまった。それにしても、どうしてこの役に日本人をもってこなかったのだろう。
宦官ミン早乙女太一。美しく、しなやかで、はじめのうちセリフがちょっと、と思っていたが、次第によくなって、自分のアイデンティティーを押し殺さねばならなかった運命、宦官としての哀しみと憤り、感情がとてもよく伝わってきて、涙が出た。ただ、太一クンの魅力はセリフよりも、表情や身のこなしにあるように思う。16歳で、そういうもので心情を表現するとは、やっぱり天才だ。
カラフの従者リュー安倍なつみ。「白蛇伝」の時に比べてずいぶん成長したと思う。一途さがイヤミにならずに可愛いし、歌も上手で、ミンとリューが2人一緒に出てくる場面はとてもよかった。ミンはトゥーランドットに忠実な宦官だし、リューはカラフを愛しているから、この2人に愛が芽生えるわけはないのだが、いっそこの2人を愛し合わせる物語にしたほうが面白かったのに、なんて思ってしまった。
この物語の中では悪役ともいえるワン将軍中村獅童。この芝居は獅童が出るから見に行ったようなもの。トゥーランドットに対するかなえられない愛が歪んだ形となって、人間性も残忍になってしまったワン将軍だが、ミンへの思い、トゥーランドットへの思いなど、複雑な心境がよく出ていた。太い声、立ち回りの美しさ(かなり激しい立ち回りだった)、役者としての魅力の上からも、絶対カラフより勝っていたと思う。獅童は45月と「トゥーランドット」、7月は「羊と兵隊」に出演で、また歌舞伎から離れるのかぁとちょっと残念な気がする。
物売り北村有起哉。一見軽いけれど、本当は世の中というものをよく知っている人間。剽軽さが植木等を思い出させた。歌はともかく、演技はさすが。

宮本亜門の演出は初めて見た。映画で画面を分割して同時に複数の場面を映すような手法が何回かみられた。とくに1幕目最後のアーメイ、岸谷五朗、安倍なっち、アンサンブルのコーラスの重唱は、ウエストサイドストーリーの「トゥナイト」重唱を思わせる。
大階段は身分の上下を表すのにも使われ、ワン将軍の獅童は最上階にいるトゥーランドットのところへ駆け上がっていく回数が多く、うわあ体力いるなあと同情してしまった。
客席は階段状になっていて、出演者の通路を使った登場退場シーンが多い。アンサンブルの人たちは歌いながら通路を通ったりするのだが、その歌声の見事なこと。みんなオペラ歌手? 

ぴあの先行販売で取った私の席は最後列、一番右から3番目。これで13,500円かよ~と納得いかない気もするが(一般販売のほうがいい席が出ていて、買い換えたかったが、高すぎてとてもムリ)、この芝居に限っていえば、全体を見通すことができたし、かえって前のほうの席では上を見上げることになって首が痛いのではないかと思うから、その点はまあまあかな。今日はチケット完売だそうで、立ち見が出ていた。私の後ろに12人。役者さんの通路使用があるため、きっちり1人ずつ線を引かれた中に立って見なくてはならない。私の右隣2席はドタキャンなのか、ついに最後まで誰も座ることがなかった。立ち見の人は恨めしかっただろうなあ。私はおかげでトイレも一番に行くことができたし、座席は前の列と交互に置かれていながらも斜め前の人の頭が視界を遮るのを、体を傾けてよけることができて有難かった。
<上演時間>第180分、休憩20分、第255

おまけ1カーテンコールは2回。1回目が終わってもう帰る人もいたけれど、拍手は鳴り止まず、どうなるかなあと待っていると、幕が再び開いた。2回目はスタオベしている人が多かったが、私は立たなかった。装置だとか、歌だとかで高揚感は確かにもったが、やはり主役の2人に感情移入できなかったことが立てない理由だったと思う。でも、太一クンと獅童さんにはオバ拍手で賞賛の気持ちを表しました。
おまけ2:劇場について

オケピ:舞台と客席の間にオケピがあり、音楽は生演奏だった。
ロビー:シアタークリエもそうだったが、とても狭い。新しい劇場なのに、どうしてそんなに狭く設計するのかわからない。休憩時間、トイレに並ぶ列と、外へ出ようとする列がもつれて、ラッシュの電車みたいだった。

おまけ3色々ケチはつけたけれど、誤解しないで。面白いことは面白かったのです。で、ついつい誘惑に負けて「かもめ」のチケットを買ってしまった。劇場でも売っていたのだけど、座席が限られていて、それもあまりいい席ではない。前日ネットで検索して躊躇していた席よりもっと悪い。で、休憩時間に、ネットで取れる席のあたりにさりげなく行って舞台を観るとこれならOKという感じだったので、帰宅してからネットで予約した。歌舞伎と3連チャンになりそうで、バカな日程組んでしまった…

おまけ4豪華な装丁で、衣裳の端切れ付き(衣裳は和田エミ)のプログラムは2500円。高い…あまりの高さに、ほかのグッズにはまったく目がいかなかった。プログラムは座席にも販売にくる。

おまけ5入り口でスポンサーのライオンさんから、商品のサンプルをいただきました。新しい入浴剤と柔軟剤でした。嬉しいものです。

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コメント

私は藤原竜也クンよりも村有起哉ファンなんですけれど(って比べちゃいけない?)、「トゥーランドット」は見送りました。どうかな?で有起哉くんを見に行くには、高額なんですもの 主役なら行ってるかも、ですが。「かもめ」で初めてACTシアターに行く予定です。
でも、チケット取りにも戦略が必要ですよねぇ。私もぴあ他の先行で、かなり上乗せ料金を払ったのにこんな席?と、ガックリしたことが数知れず。「かもめ」は劇場先行で買ったのですが、後からカード会社などあちこちで割引で出てたりして、うーん(でも、席を確認して買えるんだから手数料も仕方ない、と自分を納得させてます)。

投稿: きびだんご | 2008年4月 3日 (木) 21時37分

きびだんご様
有起哉ファンってけっこう多いようですね。私も遅ればせながら、徐々にファンになりつつあります。トゥーランドットは獅童さんと太一クン目当てだったんですけどね
しかし、チケットは高い。まあ、あれだけの舞台を作るにはそういう料金設定が必要だったのでしょうが、最前列も最後列も同じ料金というのは、やはり納得いきません。納得いかない中で、その席のメリットを見出すようにはしています…

投稿: SwingingFujisan | 2008年4月 3日 (木) 23時20分

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