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2007年9月10日 (月)

無常2題:「熊谷陣屋」と「汐汲」

98日 秀山祭九月大歌舞伎昼の部その2(歌舞伎座)
0709084kumagai 「熊谷陣屋」
申し訳ない。前半、かなり寝てしまいました。半分は食後で耐えられなかったのだけど、半分はこのつらい子殺しの物語から目を逸らしたかった(「熊谷陣屋」は今回で3回目。もうご勘弁を、ってそんな気持ちです)。でも、後半しっかり目が覚めたので目を逸らすこともできず、舞台を見つめていたら、吉右衛門さんの素晴らしさに思わず釣り込まれた。
僧形に姿を変えその場を去る熊谷に向けて、義経(芝翫さん、若々しくて哀感もあり、とてもよかった)がぐいっと差し出すように小次郎の首を掲げる。それをじっと見つめる熊谷。思わず涙が出た。それに続く熊谷の幕外の引っ込み。どんな思いで歩を進めているのだろうと察すれば、さらに涙は溢れてくる。まさに無常である。
私は女だから、母親の心情でこの悲劇を受け止めるのかと思いきや、いつも熊谷の気持ちになる。実際にそういうことが起こったらきっとクドクド嘆くだろうに、芝居を見ていると心の中で慟哭する熊谷に同化してしまうのだ。

後半だけでもこれだけ感動したのだから、前半をまともに見なかったのは実にもったいないことをした、と今、後悔している。

出だしの義太夫が清太夫さん(低い声での語りが多くて、声を張り上げる場面はあまりなかったように思う)、最後の「愁い三重」の三味線が栄津三郎さん。お二方のファンである私には嬉しいことであった。
一つ、つっこみ。鎧櫃の中には敦盛が隠れているんだけど、あんなに長時間、あんな箱に入っていたらかなり苦しいんじゃないの~?

<上演時間>92
0709085siokumi 「村松風二人汐汲」
8月の合同公演で見た「今様須磨の写絵」と題材は同じ、いわゆる松風物。「須磨の写絵」では在原行平に悪役・船頭此兵衛も登場したが、この舞踊は松風と村雨の2人だけ。詩情豊かではあるが、これもまた、無常の世界である。
とにかく玉様の美しさにときめいた。最近美しさにますます磨きがかかったんじゃないかしら。そして踊りの見事さ。しなやかで自然な動きは天女の舞かと思うほど。とくに狩衣をつけての踊りは素晴らしかった。福助さんもとても綺麗だし、相当な踊り手ではある。2人の動きの違いが見えて、興味深い。
汐汲み姿ってなんとなく懐かしさを覚えるなあと思ったら、わかった。その昔、藤娘などと同様、塗り絵の定番だったのだ。
<上演時間>30

教訓:芝居を見た後に、明太もんじゃでビールとサワーをがんがん飲むべからず。せっかくの昂揚感が酔いの中に完結してしまう(簡単に言えば、昂揚は忘却の彼方へ、ということ)。
0709081before
 before
  ↓
 after
0709082after

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歌舞伎観劇記」カテゴリの記事

コメント

○○様
ありがとうございます。嬉しいです♪
私もひょっとして、と思わないではなかったのですが、ごめんなさい、気がつかなくて。これからもよろしくお願いいたします。
パソコン、大変でしたね。

投稿: SwingingFujisan | 2007年9月10日 (月) 14時32分

この、before⇒after よいですね。
こういった瞬間ってなかなかお目にかかれないけれど、ちょこっと緊張しますよね。
ああ、歌舞伎観たいよう。

投稿: るるる | 2007年9月15日 (土) 13時12分

るるる様
本当は、「→」のところを見たかったのですが、ね(^^)。いつだったか、初日の垂れ幕をかける作業の最中で出くわしたことがあります。でも、なかなか進行しなくて、ずっと見ているわけにもいかず、用事が済んだ頃にはすっかり終わっていました。だから、その時もbeforeとafterしか見られませんでした。
歌舞伎、10月は歌舞伎座も演舞場も国立も三越もありますよ♪♪

投稿: SwingingFujisan | 2007年9月15日 (土) 15時19分

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